2016年4月17日日曜日

efficacy と effectiveness の違いについて

 時々見かけて,これら二つは結構意味が違うんだよな~と思うんだけど,他人に説明できるほどよくわかっていないなと思ったので,再度まとめてみようと思う.

 医学研究や,政策的な文脈で,efficacy と effectiveness の違いというのは意識された方が良いです.以下に,意味の違いを簡単にまとめます.

 まずは,辞書的にはどうなっているか.(参考 リーダーズ英和辞典)
efficacy 効力,効験,効きめ
effective ①効力のある,有効な;有力な,有能な;効果的な;強い印象を与える ②実際の,事実上の;<兵員などが>応戦体制にある
英英辞書では,こんな感じ.(参考 Oxford Dictionaries)
efficacy The ability to produce a desired or intended result
effectiveness The degree to which something is successful in producing a desired result; success

 どうも区別は難しい.日本語のネット検索ではあまり正確な話が載っていないので,英語から引いてみると以下のような参考資料が無料で確認できた.

Technical Reviews, No. 12.
Gartlehner G, Hansen RA, Nissman D, et al.
Rockville (MD): Agency for Healthcare Research and Quality (US); 2006 Apr.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK44024/

 それほど長くない適度な感じだけど,面倒なのでイントロダクションのところだけ.

 Clinicians and policymakers often distinguish between the efficacy and the effectiveness of an intervention. Efficacy trials (explanatory trials) determine whether an intervention produces the expected result under ideal circumstances. Effectiveness trials (pragmatic trials) measure the degree of beneficial effect under “real world” clinical settings. Hence, hypotheses and study designs of an effectiveness trial are formulated based on conditions of routine clinical practice and on outcomes essential for clinical decisions.

 介入のエフィカシーとエフェクティブネスを区別する.エフィカシー研究(説明的なトライアル)ではその介入が理想的な環境下で期待する結果が得られるかどうかを調べるものである.エフェクティブネス研究(プラグマティックなトライアル)では「実際の世界」での有益な効果の度合いを測定するものである.ゆえに,エフェクティブネス研究における仮説や研究デザインは,ルーチンの臨床プラクティスや臨床判断にとって不可欠なアウトカムに基づき生成される.

 つまりエフィカシーとエフェクティブネスの違いは,端的に言うと「理想環境での効果か,実際社会での効果か」の違いということになるでしょう.よく臨床スコアの研究なんかが発表されることがあるが,だいたいはまず,大学病院や基幹施設で,手技等の十分な指導を受けてから実施して,「これだけ予後が改善しました!」「これだけ検査が減らせました!」という結果を発表している.これはある意味,「理想環境」であって,それを広く一般市中病院に適応できるか(一般化できるか)については不明である.一般的な環境で調査をして明らかになるのがエフェクティブネスなのでしょう.

1 件のコメント:

  1. わかりやすい説明、ありがとうございました!途方に暮れておりましたので、助かりました!

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