2016年2月19日金曜日

インフルエンザについての話題

インフルエンザウイルス感染症の流行シーズンとなりました.
今年は1月下旬からの流行で,例年より遅い流行となったようですが,医療機関には連日発熱を主訴に来院する患者がおられます.(参考)

インフルエンザを疑った場合の適切な受診行動は以下です.


  1. 発熱(たいていは38度以上),頭痛,関節痛や筋肉痛などの全身症状が主体で,咳,痰などは主体となりにくいです.腹痛や下痢が出ることもありますが,胃腸炎ほどひどくないことが多いです.また,職場,学校,家族のインフルエンザ感染がある場合は,自分も罹っている可能性が高くなります.
  2. 上記の様に,典型的な症状+濃厚な感染者との接触があれば,臨床的に(症状のみで)診断することができます.
  3. インフルエンザの迅速検査は,鼻に綿棒を入れて鼻の奥の液を回収し,検査するものです.インフルエンザ迅速検査は,発熱して大体12時間以降にならないと陰性になる可能性が高くなります.発熱直後は迅速検査を実施しない医療機関も多いでしょう.
  4. このため,検査を希望する場合は12時間以上開けてから医療機関を受診することが望ましいです.
  5. インフルエンザの治療を希望する場合は,発症して24-48時間以内に投薬開始すればよいことになっていますので,「可能な限り早く受診する」必要はありません.上記の様に,検査で陰性となるタイミングでの受診はあまり得策ではないでしょう.
  6. インフルエンザは,治療薬なしでも治る病気です.抗インフルエンザ薬は,発熱期間を平均して約1日ほど短くする作用があると言われていますが,同時に副作用も良く報告されています(多いのが嘔気などの消化器症状).「1日解熱が早まることと,薬の副作用が起こる可能性」との比較が必要です.
  7. 受験生,自宅に乳児や高齢者など免疫の弱い人がいる場合,喘息,神経筋疾患,心臓病,その他考慮すべき既往がある場合は積極的な抗ウイルス薬の適応と考えられます.
  8. インフルエンザを最も効果的に予防できるのは,現時点ではインフルエンザワクチンです.

3 については,以下の様な調査が発表されており,12時間未満ではインフルエンザA型では感度 90%未満,B型では80%未満という数字です.12時間を越えれば,A型に関しては100%近い感度を得られます.(三田村敬子ら,ウイルス 第 56 巻 第1号,pp.109-116,2006)

6 について.様々な研究をまとめて評価する,"コクランライブラリー Cochrane Library"のまとめによると,以下の様な結論となっています.(小児の場合)(Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in children)
Oseltamivir and zanamivir appear to have modest benefit in reducing duration of illness in children with influenza. ... Based on published trial data, oseltamivir reduces the incidence of acute otitis media in children aged one to five years but is associated with a significantly increased risk of vomiting. ... The benefit of oseltamivir and zanamivir in preventing the transmission of influenza in households is modest and based on weak evidence. ... However, the clinical efficacy of neuraminidase inhibitors in 'at risk' children is still uncertain. ...
オセルタミビルとザナミビルは,小児のインフルエンザにおいて,病気の期間を減少させる中等度の効果がありそうである.(中略) 出版されたデータによると,オセルタミビルは1-5歳までの小児の急性中耳炎を減少させた一方で,嘔吐のリスクを著明に増大させた.(中略) オセルタミビルとザナミビルの,家族内でのインフルエンザの伝播の予防については,弱い根拠に基づいた中等度の効果があると考えられた.(中略) ノイラミニダーゼ阻害薬の「リスクを持つ児」への効果は定かではない.

最後に,最も本質的ではありますが現代社会が実現できないこと.

  • インフルエンザは何もないところから起きることはありません.あなたがインフルエンザになると言うことは,「誰かから移された」ことを意味します.少々体調が悪くても学校や職場へ行くなどの行動が,インフルエンザを広げてしまう結果になりかねません.特に社会人は簡単に休めないことは事実ですが,移される側の身になって考える事も必要です.会社の偉い方,学校の先生方も,鼻汁,咳嗽,微熱,倦怠感などの感染徴候がある場合は,早めに休める環境を作って頂きたいと思います.
  • 学校の皆勤賞,会社の無理な出勤はやめた方が良いと思います.


2016年2月15日月曜日

経口補水液についての話

 上司の小児科医と話していたことですが,よく脱水に対してオーエスワンやポカリやアクエリアス,と言いますが,塩分+水分の補給であれば味噌汁やスープ+お茶で十分だということももっと知られて良いと思いました.

 オーエスワンは,ナトリウムを 50 mEq/L 含有しています.これは病院で使用する「1号液(開始液)」の半分強,「3号液(維持輸液)」よりやや濃いナトリウム濃度でした.ちなみに生理食塩水(0.9%食塩水)は 154 mEq/L ですからかなり濃い事がわかります.
 脱水の際に問題となるのは,血管内に水分を十分とどめておくことですが,これに重要なミネラルがナトリウムです.ナトリウムは NaCl の化学式で知られる様に,いわゆる食塩によって摂取できるものです.塩分をしっかりととることが脱水の補正に関しては重要となります.なお,塩分が多ければ良いというわけではなく,例えば海水は3%強の食塩水と言えますがこれは生理食塩水の3倍であり,体よりも濃いナトリウム濃度ですから,逆に水分が吸い取られる結果となりますので,濃すぎる塩分は脱水の治療になりません.

 さて,脱線しましたが,オーエスワン 500ml に含まれる塩分量は,食塩にして 1.5g ほどといわれています.これは味噌汁1杯くらいの塩分に等しいそうです(参考 pdf).

 従って,味噌汁にお茶を2杯ほど飲めば,オーエスワンと同様の効果を持つ補水になると考えられます.もちろん,コンソメスープでも梅干し入りお茶漬けでもよいです.

 ・梅干し→1~2粒くらい(参考)
 ・コンソメスープ→キューブ1個(参考)


 脱水が気になったら,ご飯は無理しなくていいですが,お味噌汁,スープだけでも飲んで,お茶も飲んで,ゆっくり休んで頂ければと思います.
 個人的には,オーエスワンの味は苦手なんですよね~.

2015年6月17日水曜日

救急車を有料化すべきかどうかについての話

 先日、Yahoo! ニュースで以下のような記事が掲載されました.


救急車は有料化すべきか…搬送者ほぼ半数は軽症、緊急時の影響懸念(参照)

 内容はガバガバなんですけど、産経ですからまあ・・・という感じです.
 救急車を有料化すべきかどうかの前に、なぜ救急要請が増えているのか、その背景への考察が乏しく、実りのない議論になっています.救急要請増加の背景としては、ひとつに高齢化の進行による医療ニーズの単純な増加があるでしょうし、マルチプロブレムを抱える高齢者が臓器別に分断された医療を施されていて、それが破綻することによる医療供給体制の問題もあるでしょうし、人口の流動性が高まって、老老介護や施設介護などが常態化すること、あるいは核家族化が進むことなどの、家族像の変化の問題もあるでしょう.

 帝京大のお医者さんがどういうトレーニングを積まれたのか知りませんが、恐らく長い間救急の初期診療などに関わりもしない人が「不適切利用が多いから有料化」なんて言っているわけで、現場感の乏しさ、医療者としての器の狭さに目を覆いたくなる内容です.一般市民、特に老老介護で体調も悪い時に「適切利用」を判断することなどできないでしょう.また、医学界が一般市民向けに十分な教育や相談窓口を提供してきたかというと、お粗末極まりないわけですから、自業自得の面もあるわけです.

 対するNPO理事の方も、ご自身の体験として苦労されたのは理解できますが、不安だから無料にしましょうという発想で制度設計できるわけではありません.資源は希少ですから適切な利用を考えるわけです.また、憲法25条を救急車制度に直接引用するのはあまりに理論が飛躍しています.

 自分はもはや、完全に医療従事者としてしか発言できませんが、それでも日々、診療をしていて患者・家族の「不安」がいかに大きいか推測はできます.(失礼な言い方になりますが)素人目線で考えることを忘れてはいけないと思います.また、日本の社会人として、少々の熱や風邪で会社を休めないというのは理解はすべきと思います.救急車や、時間外外来の不適切利用は、ただ「救急車を有料化」というような矮小化した問題提起にあてはめられるべきではありません.ましてや、患者・家族への批判となるべきではないと思います.できることはまだまだあると思います.

2015年6月12日金曜日

ランセット誌より セミナー;中東呼吸器症候群

Seminar; Middle East Respiratory Syndrome
The Lancet. 2015 Jun 03.
Alimuddin Zumla, David S Hui, Stanley Perlman. 


要旨

 中東呼吸器症候群(MERS)は、新型のシングルストランド・プラスセンスRNA ベータコロナウイルス(MERS-CoV)による、致死率の高い呼吸器疾患である.MERS-CoVの宿主であるヒトコブラクダは、直接あるいは間接的にヒトへの感染に関与しているが、正確な伝播様式は不明である.このウイルスは、2012年6月にサウジアラビアのジッダで重篤な呼吸器疾患により死亡した患者から初めて分離された.2015年5月31日までに、1180例が検査室で確認された症例(うち483人が死亡、死亡率は40%)であると、WHOからの報告がある.大部分のMERS症例は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦で発生しているが、中東からの旅行者や、中東で患者と接した者によりヨーロッパ、アメリカ、そしてアジアでも発生が報告されている.MERSの臨床的特徴は、無症状や軽い症状から、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や多臓器不全から死に至るものまで様々である.特に、なんらかの基礎疾患のある者では重症化しやすい傾向がある.MERSに対する特異的な薬物治療は存在せず、医療施設での感染拡大防止のための、感染予防およびコントロールが極めて重要である.MERS-CoVは依然として風土病であり、低レベルの公衆衛生上の脅威である.しかし、ウイルスはヒトーヒト感染を起こしやすくなる突然変異を起こす可能性もあり、パンデミックを起こす可能性は増大している.

本文


地理的分布および調査

 2012年6月にサウジアラビアのジッダで最初の報告.その後、2015年5月31日までにWHOで把握されている症例は以下のとおり.サウジアラビア、アラブ首長国連邦での報告がほとんどであるが、その他の地域でも報告がある.アラビア半島周辺が多いが、中国、東南アジアなどでも報告がある.遠方の地域では、韓国はかなりの症例数があることがわかる.




ウイルス学

 複雑かつ専門的であるため割愛する.シングルストランドRNAウイルスであるが、ゲノム解析はされていて、特異的な塩基配列がPCRの標的として知られてる.

疫学

 まず大前提として、MERS-CoVの正確な感染源・感染様式は不明である.
 コウモリに感染するコロナウイルスとMERS-CoVが、ヒトの同じ細胞受容体を利用して感染することがわかっている.しかし、コウモリからMERS-CoVが検出された例は未だない.その他に、アラビア半島における他の動物における、MERS-CoV感染の血清学的検証を行ったところ、オマーンのヒトコブラクダでは100%が、Canary Islands (スペイン)では14%が、抗MERS-CoV抗体を持つことがわかった.一方で、牛、ヤギ、羊からはMERS-CoVは検出されなかった.

ラクダからヒトへの感染

 ラクダからの感染がMERS-CoV感染症に関連しているが、ラクダと接触した患者はほとんどいない.しかしこれは、より直接的でない方法での曝露による、交絡と考えられる.すなわち、サウジアラビアでは珍しいことではないが、ラクダの乳を未滅菌のまま飲用することで、感染源に曝露していたと考えられるのである.しかしいずれにせよ、ラクダとの接触が乏しいにも関わらずMERSを発症することは、ヒトーヒト感染が主体である可能性や、他の媒介生物が存在しており、ラクダーヒト間での感染の交絡因子となっている可能性などを示唆する.
 また、これまでMERSの発症は一年を通して報告があるが、季節性はありそうである.上記のFigure 1からは、2013年および2014年は4-5月に多いが、2014年では9-10月にも小さなピークがある.

ヒトからヒトへの感染

 ヒトーヒト感染については、疫学調査とともに、遺伝子学的調査も行われている(疫学調査:発症した場所、接点はどこか、リスクは何か、など / 遺伝子学的調査:検出されたウイルスを解析して、同じ遺伝子配列を持つかどうかで直接の伝播か、持ち込みによる感染かを確認する).感染の大部分は飛沫感染または接触感染の形をとると思われるが、空気感染やその他の媒介による感染の可能性も否定はできない.
 また、MERS-CoVの伝播には感染患者やその疑いのある患者との濃厚接触が必要とされているが、一方で実際に濃厚接触したとしても実際に伝播した例はほとんど観測されていない.R0(基本再生産数、一人の患者が何人にうつしたか)は、MERS-CoVでは0.7未満とされていて、SARS CoVが1以上とされているのに比して感染力は小さいと考えられている.

臨床症状

 MERS-CoV感染症は、無症候性感染から重篤な肺炎、ARDSを伴うものや敗血症性ショック、多臓器不全などにより死に至るものまで多岐にわたる臨床経過をとる.MERSとSARSの臨床症状の比較については以下のとおり.


 潜伏期は平均5.2日で2週間以内に発症.現時点で再生産数は1未満である.感染者は大人が多い.死亡率は40%に達しており、SARSの9.6%に比べるとかなり高い死亡率.また増悪するスピードも1週間前後で人工呼吸器管理に至るケースが多いのに比べて、SARSは11日間が平均である.
 症状として多いのは、発熱、悪寒戦慄、咳嗽などであるが、呼吸器感染症に非特異的に見られる所見である.検査としては、SARSと同様重症ウイルス感染症として、白血球減少、特にリンパ球減少が見られることがある.その他に、消耗による凝固異常、クレアチニンや乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)や肝酵素の上昇などが見られることがある.また、他のウイルスとの共感染(パラインフルエンザ、ライノウイルス、インフルエンザAウイルス(H1N1) pdm、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザBウイルス)や、細菌感染(Klebsiella pneumoniae, Staphylococcus aureus, Acinetobacter spicies, Candida spicies)などの報告もある.
 検査は胸部レントゲン検査、血液検査、尿検査、糞便検査、呼吸器検体などを対象に行う.レントゲン上ではARDSの所見を始め様々な所見を認め得る.ウイルスゲノム等は呼吸器検体(上気道より下気道検体の方がよりゲノム数が多い)に多く、血液や糞便などにも検出されるが量は少ない.

診断

 診断には、決まった方法がある.もっぱらウイルスRNAをPCRなどの遺伝子学的検査で検出すれば感染症と考えられる.リアルタイムPCRの対象となるのはウイルス特異的な遺伝子配列で、E geneの上流(upE)、ORF 1a、ORF 1bが感度・特異度が高いとされている.
 なお、感染経路調査の一環として、上下気道検体、血液、尿、便の検体を同時に検索することが推奨されており、未だ不明な点が多いMERSの研究調査に資されている.

治療

 特異的な治療法はなく、支持療法が基本となる.インターフェロンや抗ウイルス薬(リバビリン等)、既感染者の血清中のモノクローナル抗体などは、研究レベルでの報告はあるが、未だ確固とした治療法として認められてはいない.

予防

 感染防御、感染コントロールのための方法は、飛沫対策(患者の1m以内に近づく場合はサージカルマスクを使用する)および接触対策(使い捨てのガウンと手袋の使用、適切な破棄)である.また、MERS-CoV感染が判明している患者に接するには、ガウン、手袋、眼球保護具(ゴーグル、フェイスシールド)、また呼吸器感染防御のため、必要時、規定のN95マスクを使用する.患者は陰圧個室隔離する.また飛沫核を伴うような処置をする場合は、処置室は1時間に少なくとも6回換気のできる部屋で空気感染防御を行うべきである.
 MERS-CoV感染したラクダについては、鼻炎症状を伴うこともあるし、無症状のこともある.また鼻汁、涙、糞便などからウイルスを拡散する可能性がある.感染したラクダの生乳からもウイルスを検出する.これらと接触しないようにすべきである.

未解決の事柄

 MERS-CoVが発見されて約3年が経とうとしているが、重要な疫学的情報、すなわち感染経路、病原性、そして治療法が、依然として未解決のままである.ウイルスは人獣感染症である可能性が最も高いものの、直接または間接接触、汚染された食物や加工食品などからも感染する可能性が残されている.いくつかの研究ではヒトのMERS発症とラクダからの感染の関連性が示唆されているが、その起源や地理的分布、正確な感染様式、コウモリ、ラクダそしてその他の動物のMERS-CoVとMERS-CoV様感染症とヒトとの関係(relationships between MERS-CoV and MERS-CoV-like infections in bats, camels, other animals, and human beings)など、不明な部分は多い.
 以下の一文は、どう理解すればいいのかよくわからない.”The sporadic nature of many cases of MERS has hindered in-depth case-control studies and investigation of rates of secondary transmission, including establishing the role of subclinical infection in human-to-human transmission.” 散発的な症例報告があるが、二次感染率や不顕性感染であってもヒトーヒト感染するのかについては不明であるということか(散発的なため、十分な解析ができない、ということだろうか)?
 MERS-CoVはヒトーヒト感染を起こすのに十分な感染力がないため、パンデミックを起こす状態ではない.どれくらいの間、ヒトへの持続感染を起こすかがわかれば、ヒトへの適応能の評価ができるかもしれない.動物モデルを使って、重症感染症の病態解析を行う必要性もある.コロナウイルスは遺伝子変異率が高く、アラビア半島の国々でMERS-CoV感染症は発症し続けているため、これらの研究は可及的速やかに進める必要がある.パンデミックを起こしうるMERS-CoVが出現する可能性を視野に入れた取り組みが必要である.

2015年5月31日日曜日

「拭い液」の採取方法

 医学部で教わることは、本当にごく限られた知識である.あるいは、6年間ないし4年間(1~2年生の間は一般教養が課されることが多い)で、あれだけの医学知識を詰め込んだのが驚異的なのかもしれない.
 しかし、いずれにしても実地臨床に立つと、本当に些細なことでも「実はよく知らない」ということがある.もちろん、ぼく個人の純粋な不勉強によるものなのかもしれないが.

 小児科領域に限らず、ウイルスや細菌感染の迅速検査が必要になった際、「咽頭拭い液」や「鼻腔拭い液」などが必要になることがあるが、これらの正しい採取方法を知らなかったのでまとめておく.なお、出典はこちらである(参照 PDF).

スワブの持ち方: これも知らなかったが、ペンの様に持つと良いらしい.コツは、先端をフリーにしておくこと、すなわち相手が暴れても「突き刺さずに済む」ように持つことの様だ.確かに、子どもの場合はよく暴れる.これで鼻出血などを起こしたことはないが、心がけるに越したことはない.なお、よくあるスワブは「筒と一体化しているもの」で、この場合、持ち手の部分が存在するためペンシル持ちは難しいが、これも軽く持つ方がよいのだろう.

鼻腔拭い液: 例えばNGチューブの挿入もそうだが、基本的には鼻腔の「床」に沿わせる様に挿入する.ぼくは突き当たるまで挿入していたが、当然、年齢や大きさによって目安があるらしい.乳児は4cm、幼児は4~5cm、学童は5~6cmほど挿入し、突き当たる数mm手前を狙うと良い.また、挿入してから数秒待って、鼻汁がスワブに染みこむまで待つのが良いらしい.注として書かれているが、暴れているときはいったん手を離す、というのも面白い.

咽頭拭い液: 咽頭は、咽頭後壁、口蓋、扁桃をまんべんなく数回擦過する必要がある.すなわち十分に咽頭を視認しながら実施しなければならない.口蓋垂を跳ね上げる様に、後ろの上咽頭まで擦過する、というのもへぇという感じ.

 上記は、教科書からの出典ではないが、ある程度の参考にはなると思う.

2015年5月16日土曜日

米国小児科学会の細気管支炎のガイドライン 2014.

Clinical practice guideline: the diagnosis, management, and prevention of bronchiolitis.
Pediatrics. 2014 Nov;134(5):e1474-502. doi: 10.1542/peds.2014-2742.

診断

1a. 細気管支炎の診断および疾病重症度評価は、病歴および身体診察によって行われるべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
1b. 重症化への危険因子、すなわち生後12週未満、早産の既往、循環・呼吸系疾患の存在、免疫不全などを評価するべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
1c. 細気管支炎の診断が病歴および身体診察で行われた時は、レントゲンや血液検査はルーチンには行われるべきではない.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)

治療

2. 細気管支炎の診断となった乳児または小児に、アルブテロール(またはサルブタモール)の吸入を行うべきではない.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
3. 細気管支炎の診断となった乳児または小児に、エピネフリンの吸入を行うべきではない.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
4a. 細気管支炎の診断となった乳児または小児に、救急外来において、高張生食の吸入を行うべきではない.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
4b. 細気管支炎の診断となった乳児または小児に、入院中、高張生食の吸入を考慮しても良い.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Weak Recommendation [ランダム化試験における一致しない結果])
5. いかなる状況でも、ステロイドの全身投与は行うべきではない.(Evidence Quality: A; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
6a. 酸素飽和度が90%以上であれば、追加の酸素吸入は行わなくても良い.(Evidence Quality: D; Recommendation Strength: Weak Recommendation [低レベルのエビデンスおよび最初の原則に基づく])
6b. 持続酸素飽和度測定は、行わなくても良い.(Evidence Quality: D; Recommendation Strength: Weak Recommendation [低レベルのエビデンスおよび最初の原則に基づく])
7. 胸部の理学療法は行うべきではない.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
8. 同時に細菌感染が存在、ないしその可能性が強く疑われる場合を除いて、抗菌薬投与は行うべきではない.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
9. 経口での水分摂取が困難な場合は、NGチューブや経静脈的な補液を行うべきである.(Evidence Quality: X; Recommendation Strength: Strong Recommendation)

予防

10a. 在胎29週0日以上で、その他に特に既往のない児にはパリビズマブを投与すべきでない.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
10b. 在胎32週0日未満の未熟児で、少なくとも生後28日の間に21%より多くの酸素を要した児で、血行動態の異常がある心疾患や慢性肺疾患を持つ場合は、生後1年間の間パリビズマブを投与すべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
10c. パリビズマブの適応のある乳児には、RSウイルスのシーズンに最大で5ヶ月の投与(15mg/kg/dose)を行うべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
11a. すべての人々は、患者に触れる前後、患者の周囲の物に触れた後、および手袋を外した後は、手指消毒を行うべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
11b. 細気管支炎の小児のケアに当たる時は、擦式アルコールによる手指消毒を行うべきである.アルコールが使用できない場合は、せっけんと流水による手指消毒をすべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
12a. 細気管支炎の評価の際は、その乳児または小児のタバコの煙への曝露の有無を聴取すべきである.(Evidence Quality: C; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
12b. 小児の細気管支炎の評価において、保護者に対してタバコの煙や、禁煙などについて助言を与えるべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Strong Recommendation)
13. 呼吸器感染症の罹患率を下げるためには、少なくとも6ヶ月の完全母乳を勧めるべきである.(Evidence Quality: B; Recommendation Strength: Moderate Recommendation)
14. 臨床医および看護師は、個々人や家族に対してエビデンスに基づく細気管支炎の診断、治療および予防について教育すべきである.(Evidence Quality: C; observational studies; Recommendation Strength: Moderate Recommendation) 

2015年5月14日木曜日

肉のソースにバルサミコ酢を使う.

 旨かった.
 バルサミコ酢というのをはじめて使ったが、バターとバルサミコの香りは非常にやばいので、確実に再度やると思う.おそらくなんの肉でも合うだろう.バルサミコというのをよく知らなかったが、Wikipediaによると厳格に基準があるらしく、流通している多くのものはカラメル色素などを使用した「模造品」なのだそうだ.200mlほどで700円弱だったから、安い調味料とはいえないけれど、おそらく「模造品」の方だと思われる.まあ、旨かったからいいと思う.

 レシピは簡単で、

  • バルサミコ酢:肉の量に合わせて大さじ1〜程度
  • バター:5〜10g程度でいい
  • 醤油:小さじ1程度 少量
  • ニンニク:おろしニンニク半かけ程度がよい


以上を、肉の焼きの最後に突っ込んで、ちょっと強火で水分を飛ばせば完成.簡単だね〜.あまりに旨いのでやばいです.