2012年12月4日火曜日

Ecologic Studies (1)

 エコロジックスタディ ecologic study,あるいは集団研究 aggregate studyとは,個人ではなく集団の比較に焦点を置いた研究方法である.このようなものに焦点を置く根本の理由として,各々の集団における少なくとも2つ,あるいは全ての変数の,結合分布 joint distributionに関する個人レベルのデータが欠けているということがある.ゆえにエコロジックスタディは「不完全な」スタディであると言われる.エコロジックスタディは社会科学者によって前世紀から既に行われていたもので,さまざまな研究領域で頻用されてきた.にもかかわらず,個人レベルの研究,集団(エコロジック)レベルの研究そして推測に基づく示唆との区別が,始めに現れたときよりずっと複雑で漠然としたものになっている.1980年までは,エコロジックスタディはしばしば疫学の教科書の始めのパートに単純な「記述的」分析,すなわち仮説検定にさきがけて地域,時間別に罹患率を層別化するものであり,統計学的手法や推定などについてはほとんど注目されていなかった(例えば,MacMahon and Pugh(1970)をみよ).この20年でこの方法やエコロジックスタディの実例が大幅に拡張しており,この領域の主要な部分は今,しばしば「空間疫学 spatial epidemiology」とよばれている.

- Ecologic Studies. Modern Epidemiology, K. J. Rothman, 2007

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