2012年11月7日水曜日

無題・引用

夜と霧、ヴィクトール・E・フランクル
「まっただなか」 にいた者は、完全に客観的な判断を下すには、たぶん距離がなさすぎるだろう。しかしそうだとしても、この経験を身をもって知っているのは彼だけなのだ。もちろん、みずから経験した者の物差しはゆがんでいるかもしれない。いや、まさにゆがんでいるだろう。このことは度外視するわけにはいかない。そこで、いわゆるプライヴェートなことにはできるだけふれないことが、しかし他方、必要な場合には個人的な経験を記述する勇気をふるいおこすことが重要になってくる。なぜなら、このような心理学的探求のほんとうの危険は、それが個人的な調子をおびることではなく、かたよった色合いをおびることにあるからだ。

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