Assessment of Musculoskeletal Toxicity 5 Years After Therapy With Levofloxacin
Pediatrics Vol. 134 No. 1 July 1, 2014 pp. e146 -e153
http://pediatrics.aappublications.org/content/134/1/e146.abstract
要旨
ニューキノロン系抗菌薬は、投与量や投与期間に依存して荷重関節の軟骨障害を引き起こしたという動物実験により、その安全性への関心があった.急性中耳炎と市中肺炎に対するレボフロキサシンと比較薬との比較で、軟骨障害の有無により5年間フォローされ評価されたランダム化前向き比較試験が計画された.研究に参入された児はまず、筋骨格系副反応(MSAE)に着目した1年間の安全性評価に組み入れられる.MSAEやプロトコルで規定した筋骨格系疾患が残存する児については、追加的な4年間のフォローを受ける.
2233人の児が12か月のフォローアップを受け、1340人中124人(9%)のレボフロキサシン群と、893人中83人(9%)の比較薬群が5年間の治療後評価を受けた.治療後2-5年後までのMSAEを認めた児については、薬剤治療の"関与があり得る"とされたものは両群で同数であり、レボフロキサシン群では1340人中1人、比較薬群では893人中1人であった.
結論は、レボフロキサシンまたは比較薬で治療された児で、5年間のうちにMRSEを呈したものは臨床的に検知可能な差異はなく、レボフロキサシンによる軟骨障害の5年間でのリスクは稀であるか、または可逆的なものであると考えられる.
小児におけるニューキノロン系抗菌薬の位置づけは、基本的に禁忌とされている(イヌに対する投与実験で軟骨障害を認めた).しかし、2009年に発表されたトスフロキサシン(商品名オゼックス/大正富山)は、小児用顆粒製剤として、小児に適応のある国内はじめてのニューキノロン系抗菌薬として注目された.適応は、肺炎、中耳炎、コレラ、炭疽菌感染症とされている.特に呼吸器感染に対するトスフロキサシンの処方は小児領域では一般化しているように思う.
正直なところ、たかが動物実験で適応がないのはどうなのよ、と思うところであったが副作用の検証というのはたぶんいろんな意味で困難なんだろうと思う.5年という比較的長期のフォローで筋骨格系副作用の評価を行ったこのたびの研究は、それなりの意義はあったと思うが、「やっぱそうだよね」の感とで迎えられたのじゃないかと思う.エビデンスと、社会的なポリシーのすりあわせというのはたぶんいつの時代も問題になるんだろう.
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