先日書いた、後期研修病院の選考だけど、無事に志望した病院に内定をもらい、つい昨日その文書の提出を行った.これで今の初期研修を終えることができれば、後期の3年分の食い扶持はキープされた訳だ.とりあえず、結構全うな小児病院で働けそうなことを楽しみに思う.
現在、研修は志望科である小児科ローテ中.当科の部長が、正確にはクセがあるもののとても切れる人で、自分の師匠の一人である.その人と、自院の来し方行く末について話し合ったので、少し記録しておこうと思う.
昨今、どこの病院も特色を出そうとして「○×センター」などと銘打って、有名な医師やスタッフを配し、設備を整えて広告塔のようにするケースが少なくない.自院も、経営陣の思惑に沿って、このようなセンター化が著しい.しかし、センター化の行く末はどうやっても「寄せ集め」にしか過ぎなくて、それぞれで専門的な医療はできるんだけど、総合病院としてやっていこうとすると、それぞれのセンターを「十分多く、十分多様に」取りそろえる必要に迫られる.そうやって専門の寄せ集めをすると、大勢の医師を要するし、科間の連携も失われるというわけ.イメージとしては大学病院のような場所になってしまう.
病院運営上、すべての科の土台となる科は、内科・外科・救急科+小児科・産婦人科だ、と考えられる.これに追加していく形で各専門がより深い診療を行うものである.なぜなら、心臓カテーテル治療をした人も、間質性肺炎で免疫抑制薬を使用する人も、神経難病で専門加療を受けている人も、おなかが痛くなったり、息が苦しくなったりすれば、内科・外科・救急科を受診することになるからである.常にかかりつけ医・専門医が診察するわけではない(それはリソースの無駄遣いである).そういうわけで、専門科が多くの患者を抱えればそれだけ、急変や強い自覚症状を覚えたとき、まず受診するのは上記のような5つの科なのである.それが、病院全体の体力であり、十分にその緊急事態に対応できなければ、もとの科も存続できないのである.
初期研修のエッセンスも、これなんだと思った.医師として、診療の体力となるのはこれらの科に対する知識・経験であって、専門特化がすべてではないのだ.
専門にこもるのは簡単である.目の前でおなかが痛くなった人に、手をさしのべてあげられるかどうかである.
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