N Engl J Med 2014; 371:918-931
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1401480
要旨
健康な妊娠女性、あるいはHIV感染症をもつ妊娠女性、そしてその児へのインフルエンザウイルスワクチンの有効性については、限られたデータしかない.3価不活化インフルエンザワクチン(IIV3)の南アフリカでの2つの二重盲検化ランダム化プラセボ対照試験を計画した.2011年にHIV感染妊婦を、2011年と2012年にHIV未感染妊婦を、それぞれ対象に調査した.妊婦およびその新生児(生後24週まで)の、IIV3の免疫原性、安全性および有効性について検討した.免疫反応は赤血球凝集反応阻害測定(HAI assay)で測定し、インフルエンザは呼吸器検体へのRT-PCRで診断した.2116人のHIV未感染妊婦と、194人のHIV感染妊婦がコホートとして組み込まれた.ワクチン接種の1ヶ月後、セロコンバージョン率とHAIタイターが1:40を越えたものの割合は、いずれのコホートでもIIV3接種の方が高かった.RT-PCRで診断されたインフルエンザ発症患者は、HIV陰性のプラセボ群では妊婦、新生児ともに3.6%であり、HIV陰性のIIV3接種群では妊婦、新生児それぞれで1.8%と1.9%であり、それぞれにおけるワクチン有効性は50.4%(95%CI, 14.5-71.2)と48.8%(95%CI, 11.6-70.4)であった.また、HIV陽性妊婦での発症率は、プラセボ群では17.0%、IIV3接種群では7.0%であり、ワクチン有効性は57.7%(95%CI, 0.2-82.1)であった.以上のことより、インフルエンザワクチンはHIV陰性/陽性妊婦において免疫原性を持ち、両群の妊婦およびHIV陰性群の新生児において、部分的な感染予防効果があることが示された.
ワクチン含め、クスリのエビデンスというのは結構面倒で、大規模なRCTにはお金も人手も手間もかかるのでどうしても(その薬の製造元の)製薬会社の出資になりやすい.当然利害関係にあるからバイアスの原因となるので解釈が困難となる.
今回は、インフルエンザワクチンの話ではあるが、出資元はthe Bill and Melinda Gates Foundationで、一応民間団体ではある.一方で、南アフリカでのトライアルであるところはいろいろと勘ぐらざるを得ず、どういった解釈が適切なのかはわからない.
インフルエンザワクチンのエビデンスについては、結構賛否両論でCochrane Libraryでも製薬会社主体の研究であることに対して警告されていたようだったが、最近ではエビデンスが増えたのだろうか、そのような記載が削除されているようだった.
(Vaccines for preventing influenza in healthy adults http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD001269.pub5/abstract たとえばこのレビューでは警告文がなさそうであるが、2010年の段階ではかなり大きく警告があった.)
今回のエビデンスは妊婦に対するRCTで、新生児に対しても検討している.インパクトとしては大きいだろうがvalidityについてはどうなんだろう.
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