2013年1月20日日曜日

『精神と物質』を読む

そしてこの行動の変化は、ゲノム(genom)によってもたらされたからだの変化とあいまって、例示や教育、さらにはより素朴な方法で子孫に伝えられます。いやそれどころか、たとえからだの変化がまだ遺伝的なものではないにせよ、むしろ「教えること」によってもたらされた行動の伝達が、まことに効果的な進化の要因になりえるのであります。なぜならこれが、変異を有効なものにする準備をし、強い淘汰を受けさせる用意をし、将来の遺伝されるべき突然変異を受け止めるための扉をひらくのですから。
 
当時、ラマルクが考えた「獲得形質の遺伝」は、遺伝学的には誤りであった。ダーウィンの理論が正しいものとされた。一方で、例えば突然変異的に生まれた、毛の多い植物はより寒冷な土地でも生存できる。遺伝的に、そして後天的にランダムに得られた性質により、元来であれば不利な状況下での生存、生殖が可能となった。そして後世に、さらに厳しい状況を与えることになる。
遺伝学的に遺伝しないにしても、個体の行動次第で進化への扉が開かれていくのである。

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