2012年8月9日木曜日

Meta analysis メタアナリシス について

早速,定義について引用しよう.
As aptly defined by Petitti, meta-analysis is a "quantitative approach for systematically assessing the results of previous research in order to arrive at conclusions about the body of research" on a given subject.
Petittiによる適切な定義は,ある所与の対象について「過去に行われた調査結果を体系的に評価するための定量的アプローチで,研究の"本体"に関する結論に至るためのものである」というものだ.

"the body of research"とは難しいが,さまざまな先行研究の統合体たる本体に至るための研究である,というような意味だろう.まさに統合こそがメタアナリシスだと言っていい.

メタアナリシスと言うと,"The Cochrane Collaboration"が知られているところである.メタアナリシスを行うにあたって,さまざまな研究を統合し評価が必要となるが,あらかじめcriteria 基準を用意しておいて,それを満たす研究のみを対象として評価を行うこととなる.コクラン・ライブラリに収載されるメタアナリシスは,コクラン・コラボレーションの所定のcriteriaに従い,認定を受けたメンバーによる査定が行われるとのことで,一定の品質を保った統合研究を生み出している.
疫学研究の推奨グレードA,エビデンスレベル1aの,文字通り最強の研究といえる.

コクラン・コラボレーションのWebサイトのロゴ.
メタアナリシスではお馴染みの「フォレストプロット」をロゴに取り入れている.
http://www.cochrane.org/
なにかと取り沙汰されるメタアナリシスであるが,今回はその短所について述べておく.

"統合された結果"をどう用いるか

「偏りがないこと,極めて一般論的であること」それ自体の弊害がある.
とにかく,いろいろな研究をていねいにすり合わせて,統合したものなので,その分バイアスの存在を防げたり,均質性を担保したりすることが可能になる(理論上は).しかし,実際問題として,ベッドサイドでその結果を応用しようとすると,当然のことながら「目の前の人は,オンリーワンである」.程度問題ではあるが,バイアスフリーなメタアナリシス研究と,たとえばその地域独自のpopulationを対象にした研究と,どちらがより有意義な結果を導けるかといったら,前者が必ずしも蓋然性が高いとはいえないように思う.あまりにピュアな結果は,応用が難しくなる可能性を孕む.
要は,この結果はあまり,ベッドサイドで使うものではないように感じる.そこまでの純度は,正直なところ不要であろう.絶対主義的にメタアナリシスを信奉し,バイアスを憎むことは間違いである.

もっとマクロに応用すること

メタアナリシスが有用であるケースとしては,
  • decision analysis 決定分析
  • analysis of cost-effectiveness of interventions 介入の費用効果分析
等が挙げられる.要は,もっとマクロな(ベッドサイドよりも)シチュエーションである.小さなバイアスであろうと問題になるケースでは,メタアナリシスは非常に有用であり,必要とされる研究だと言える.


あらゆる疫学的/統計学的解析には,長所と短所があり,相対的に比較し,バイアスに過剰反応するような,無価値な教条主義的態度をとらないようにしたいものである.研究はベッドサイドや病院,地域,国家あるいは世界全体にたいして,よりよく応用されてこそ,である.正しい知識と,誠実な態度で.

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