いま,この命題を原因を曝露exposure, Eとし,結果を病気disease, Dとしたとき,
「EはDの原因か?」
と書き直す.むろんあるDに対して原因は様々だろうから,より妥当には
「EはDのリスクを上げるか?」
と書ける.さらに付け加えると,
「EはDのリスクを上げるか? また,その程度はどれくらいか?」
さらに,
「EはDのリスクに影響するか? また,リスクの増減いずれなのか,またその程度はどれくらいか?」
と書けるだろう.
こうして,医学における基本的な問いをより"特異的specific"なものに書き直した.ていねいな問いに練り上げることは重要であり,それは研究デザインや,研究の規模を既定することになり得るのである.
影響をどう測るか
相対的な効果relative effectによって.疫学指標的にいえば,relative risk, RR.曝露
簡単に,「高脂肪食の摂取は,心筋梗塞のリスクに影響するか? もしそうなら,リスクにどう影響するか,また,それはどれくらいか?」という問いを立てるとする.曝露としての「高脂肪食の摂取」は,様々に定義・表現できる.脂肪の種類はどうか;飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸など
曝露のタイプ;量,頻度,期間…
導入時期
曝露の表現にかんして.喫煙と肺癌のリスクについても,喫煙と潰瘍性大腸炎のリスクについても,喫煙への曝露がどの時期にあったか,やめてどれくらい経つか,などの因子があり,これらを勘案しなければならない.病気
病気といっても様々ある.脳卒中とひとことに言っても,血栓性脳梗塞や出血性脳梗塞など,病態が異なればリスク因子との関連も変わる.調整因子
所与の因果関係の外部から,この関係に影響する因子があり得る.たとえば,急性下痢症のリスクを考える時,患者がワクチン接種者か,非接種者かによってそのリスクの評価は変化する.この場合には,この調節因子を排した研究デザインとするか,あるいは始めの問いを「非接種者における影響は?」などとより特異化したり細分化したりするなどして,立て直しをする必要がある.その他.
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